及川美夏子

 「時の書」というタイトルに惹かれて読みたくなった。「タイムトラベル」と「インディージョーンズ」を足したような、いろんな時代に飛んでいく冒険活劇といったらあてはまるだろうか。

 主人公は14歳の少年、サム。父親が突然行方不明になったことから、サムの冒険が始まる。

 父親の行方を捜すことから、サムのタイムトラベルが始まるが、最初はどの時代のどこの国へ行くのかも全くわからず、殆ど災難に巻き込まれるかのようにタイムスリップしてしまう。「時の書」はタイトルにはなっているものの、その本のようなものを使ってタイムトラベルするわけではなく、穴あきコインと太陽を刻んだ石碑によってタイムトラベルする。
 何度か、いろんなところへ行くたびにサムはだんだんと秘密が分かってきて、父親の居場所や年代もわかってくる。「時の書」はタイムトラベルした人間が行った時代と場所を示すGPSのような役割をしているらしい。さらに、コインも7枚あるというし、他にも不思議なアイテムが登場する。

 読んでいると、サムと一緒にいろんな時代や場所を見ている気分になるし、毎回困難な場面でサムがどう切り抜けるのか、ハラハラしながら、どんどんページが進む。

 また、章の終わりには、その時代のできごとや地図も載っているので、知らない人には、ちょっとした歴史の勉強にもなる。そういう点は子供向けではあるが、物語の内容としては、大人でも充分に楽しめると思う。

 内容はもちろん違うが、この作品を読んでいて「ハリー・ポッター」シリーズを思い出した。すなわち、冒険を通して少年の成長物語や家族との関わりも読み取ることができる、という点で、共通のものがあると感じた。

 (2)でやっと父親に会えるが、どうも父親はさらに何か隠していることがあるような気がした。まだサムの邪魔をする謎の人物の正体も不明だし、他にもいろいろ謎がある。残念ながら、3部作の作品なので、きっと(3)で全てのことがわかるのだろう。早く続きが読みたいものだ。