鎌田なお子


 大学講師でケアマネージャとしても活動なさっている著者・多村寿理さんの実録マンガ、生活保護受給のためのマニュアル本です。マニュアル本ですが、応援本といってもいいような気がします。金運アップを願う気持ちがあふれる黄色のカバー。その黄色をバックに、イラストは、おとぼけの表情がかわいい先生と、もうどうにもならないというような表情の20代くらいの男性が表紙に。
 
 現在は、やせ我慢で生活保護を受けなかったり、申請方法を知らないがために生活保護を受給していないという人もいらっしゃるようです。生活保護に関しては、受給する本人でなければ分からないことがたくさんあろうかと想像はしておりましたが、受給したいと思っていて現在、窮地に立たされている人でさえ“生活保護”の受給方法は簡単に知ることのできる情報ではありませんでした。
 
 そのため著者は、少しでも困っている人を生活再建という面で救いたい一心で、この本を書かれたようです。帯には、“本人、同行者に贈る最強の解説本”とサブタイトルがありました。不景気な社会の底上げを図るための最強の応援メッセージの数々が目次にあり目を引きます。
 
 著者のすべてのページにおける共通メッセージは“あきらめるな”ということのように私は感じました。自分の人生なのだから、あなた本人があきらめてどうするんだ!!と叱咤激励を著者はしてくれている気がします。ですから、生活保護受給を検討中の方なら尚更、受給検討中で本が嫌いな人でも一気に最後まで当日中に読み進めそうですから、お勧めです。
 
 実は仕事の関係で、私は生活保護受給中の方とも何回も接してきました。しかし、生活保護者の生活に入り込む仕事をしていても、心情を含む、生活保護受給者の実態は分かりにくいものでした。
 
 生活保護をめぐっては以前、死を持って、需給に関する意思表示をなさった方もいらしたようです。我が秋田県は自殺ワースト1が連続10年以上です。その自殺の主な原因は、経済苦です。まさに、自分で命を絶ってしまう前に、この本を読んでほしかったと感じます。
 
 賢くて、フットワークもよくて、周囲に助けてくれる人がいて、自分も再起したいと思っている人は、きっと、手段を見つけて生活を好転できると思います。しかし中には、そうではなく、生涯孤独で、自分からは動けなかったり、動く気力を失っている精神病の方もいたりします。ですから、音を出さない人は、そっとしておいていいわけではないということが言えると思います。
 
 しかし、安易にこの生活保護を奨励したり、すべての人の申請受理をできない理由もあろうかと思います。審査して支給を決定する行政側のご苦労も、今度、チャンスがあったら、お聞きしてみたい部分です。
 
 先日ニュースでは、派遣村で2万円の就職活動費支給後に、行方不明者が200人を超したというニュースも耳にしました。高給と言えないサラリーをもらって、朝から晩までまじめに働き決してお酒も好きなだけ飲んでいるわけではなく、贅沢もしないで暮らしている人にとっては、2万円のお金を入手したからと言って、すぐにギャンブル・すぐにお酒とは行きません。ギャンブル・お酒、その先に欲しいものがあるかもしれないのですから。この2万円という支給のお金で生き返った人の声を聞きたかったというのが私の本心です。
 
 私の知っている人には、安易に生活保護をもらって、働いて生きていくことを捨てた人がいます。まったく努力のない人を私は好きになれません。本を読んだり、手段を探したりして、周りの人に相談したり、自分の意思で、生活再起、自分再起に向かって頑張ることのできる人が、今よりは増えてほしいと思います。
 
 本を読んだ読者の方には、どうか、支給を受けて、そこから立ち上がってほしいと思います。著者は、再起のためなら受給が先、そして受給のためなら申請が先、申請のためならこの本を読むことが先と、メッセージを出し続けていたような気がします。そして申請に同行者などがいらっしゃる場合、または同行者を手配することを考えている方は、できることなら一緒にこの本を読んでから申請に行くといいかと思います。きっと同行者も好意的に申請者と思いを一つにして、申請の協力をしてくださるのではないでしょうか。
 
 生活保護を検討中の方も含めて、生活再起を願う人には、“まず、読んで”とそっと渡したくなる一冊です。