高山力也

 1月20日、中野サンプラザ(東京・中野)で開かれた、『日本の医療を守る市民の会』第20回勉強会に参加してきました。同勉強会は’08年3月に、医療と社会保障についての市民勉強会としてスタートしたそうですが、今回のテーマは「医療再生に向けて財政至上主義からの脱却 ~『医療崩壊』の原因と求められる処方箋~」という非常にタイムリーなものでした。講師の先生は元厚生労働省保険局総務課課長補佐で、来月から山形大学大学院医療政策学講座教授に就任される村上正泰氏です。
※一部事実と異なる記述がありましたので訂正させていただきます。関係者には大変失礼いたしました。心よりお詫び申し上げます(著者)

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講師の村上正泰教授(撮影筆者)


2006年度医療政策の舞台裏
 村上教授は、’06年の小泉改革時における医療政策の決定過程に大きな疑問を感じ、結果として同省を辞職したそうです。当時の医療政策はいわゆる“医療費亡国論”に代表される医療費抑制政策がピークに達していたときで、医療現場の実態や患者サイドのニーズを全く無視し、診療報酬点数をとにかく減らしやすいところから減らしてゆきました。また、経済財政諮問会議の圧力の下、経済成長率に社会保障費の変動を合わせる“伸び率管理”政策がとられていたようです。その結果として医療現場が疲弊し、昨今の“患者たらい回し事件”に見られる深刻な社会問題を引き起こしたのは、記憶にも新しいところでしょう。当時の医療政策は、施政者の立場から見ても具体的な根拠に欠けた無理のある内容のものに感じられたといいます。

民主党政権での医療政策
 そして昨年ようやく自公連立政権が倒れ、民主党を中心とする鳩山新政権が誕生いたしました。マニフェストや「INDEX2009」を見る限りでは、民主党の考える医療政策はかなり妥当なものであると評価してよいでしょう。ところが政権交代から100日以上経った1月20日現在においても、民主党もしくは鳩山新政権の目指す医療政策の具体的ビジョンが全く見えてきません。そのことを村上教授はとても危惧しておられました。

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司会者の内藤眞弓氏


今後の医療政策に関する私の考え
 最後にこれは会場でも意見させていただいたのですが、私自身は医療というものを“資源”だと捉えています。つまり、医師や看護師その他コメディカル(※)の方々から一方的に提供されるものではなく、私たち一人ひとりが医療をどう活用し、どう分配し、あるいは今後もどう維持してゆくのかを、きちんと考えなければいけないということです。そのためにはそれぞれの立場から医療の在り方について意見を交換し合い、将来的な医療のビジョンを共有してゆかなければならないのではないでしょうか。
 今回若い学生の方も何人かご意見を述べていましたが、彼らのような次の世代にこれ以上ツケを回すことは、もはや絶対に許されないことだと思います。

※コメディカル:医師と協同して医療を行う、検査技師・放射線技師・薬剤師・理学療法士・栄養士などの病院職員。(編集部注)


関連リンク
日本の医療を守る市民の会
http://iryo-mamorukai.com/