さとうしゅういち

 総務省は20日、自治体首長や有識者らによる「地方行財政検討会議」(議長・原口一博総務相)の初会合を開き、鳩山政権が掲げる「地域主権」確立のための地方自治法改正作業に着手しました。
 
 今国会で議員定数の上限を撤廃した上で、議会への住民参加や、首長と議員が住民の選挙で選ばれる二元代表制を含む議会制度改革、自治体の組織や運営の自由度拡大などについて、約1年をかけて広範に議論。来年3月ごろの通常国会に改正案を提出する方針です。
 
 地方行財政検討会議(第1回) (総務省)
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chihou_zaisei/23839.html
 
 総務省、地方議会制度を改革へ 議員定数上限は撤廃 (共同通信)
 http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012001000948.html
 
 「議会への住民参加」は「当たり前」だが画期的
 
 住民参加は、「当たり前」のはずなのに、今までの地方分権議論に欠けていた視点です。今までの分権議論は、所詮は、「官僚や大手企業から、地方のお殿様」に権益を移譲する、という傾向があったのではないでしょうか?「エライ人からエライ人への分権」に過ぎないのです。
 
 しかし、これでは、田中康夫さんいうところの「痴呆痔恥(ちほうぢち)」になりかねないと思います。
 
 住民不在なこの“痴呆痔恥”よ (新党日本WEB)
 http://www.love-nippon.com/daihyo_M.htm#188
 
 それを打破し、開かれた議会にしなければならないのです。例えば、一般市民もいいたいことを言える場を議会に設けるべきです。カリフォルニア州バークレー市では、市民がつくる委員会が議会内に設けられていますし、議会の冒頭で、市民がスピーチする機会もあります。
 こうした意見を聴いた上で、議員が決めればよいのです。そのほか、休日や夜間開催議会、広島県などの場合は、議会から遠い福山市や三次市などでも行なう「出前議会」などをしたらいいと思います。
 議員定数削減至上主義の終焉
 
 また、これまであった議員定数が少ないほどいいという風潮は、まさに悪しき固定観念です。議員は民意を反映するパイプであり、議員を削るというのは減らせば民意を削ることになるのです。むしろ問題とすべきは、議員が議員の役目を十分には果たしていなかったこと、議員の役目がそもそも不明確だったことにありました。
 
 エライ人ばかりの「痴呆痔恥」横行
 
 そもそも今までの地方自治は「自民党系の男性のエライ人ばかり」が議員だった自治体も多い。そして、霞ヶ関とのパイプをバックに権威として君臨してきました。一方で、女性が立候補すら困難な自治体もありました。
 
 日本には「女性が立候補できない村」がある-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/government/0911/0911243543/1.php
 
 そうした中、自治体によっては、エライ人だけで勝手に物事を決めていたのではないか? いや、ある程度の都会であるはずの広島県議会や広島市議会も、「痴呆痔恥」といわれても仕方がなかった、と思います。とくに、それぞれの議会の自民系の元議長が事実上、覇権を握っていた時代はひどかった、と思います。
 
 県政無惨 広島県知事引退で残された苦すぎる教訓-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/government/0906/0906245734/1.php

 広島県知事選完敗で「大物」檜山・元県会議長の政治生命危うし?-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/government/0911/0911092917/1.php

 広島市 議会多数派の市長いびり-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/government/0506/0506148369/1.php
 
 そんな古臭い体質を嫌って地方を捨て、東京などへ逃げ出した若者も多かったのではないでしょうか?
 雇用がないということもあるでしょうが、広島県などは、そうでもない。結構、その分野では優れた企業が多かったわけで、雇用情勢だけが地方衰退の原因ではないと思います。
 
 日本の地方に活力がないのは、小泉純一郎さんら、地方を切り捨てた新自由主義者の責任はもちろん大きいのですが、しかし、「男性の年配のエライ人」ばかりで物事を決めてきたため、若者や女性の能力が十分活用されなかったことも原因としてあると思います。
 
 都会でも庶民・若手の意見は反映されにくい
 
 都会は都会で課題があります。まず、職場と住所が遠いために、とくに男性のサラリーマンは地方自治への関心が低い傾向が見られます。そのために投票率が低い。
 
 また、比較的に女性議員は多い。ただ、公明党、共産党以外の議員、いわゆる生活者ネットや無党派・市民派議員の方はインテリ家庭の専業主婦出身の方の割合が比較的多い傾向が見られます。
 
 1990年代後半ころ、いわゆる無党派ブームや既成政党不信の中で、彼女らが一世を風靡した時期がありました。彼女らが情報公開や環境、食品の安全、DVなど、男性が取り上げなかった議題を取り上げた功績は大きいと思います。しかし、まだまだ、政治の場に掬い上げられていない問題は多くあります。若手の女性の場合は、労働問題・貧困問題(飯が食えるかどうか)が深刻ですし、年配の方も実は貧しかったのだが、それは男性の貧困問題が明らかになるまで光が当たってこなかった面があります。
 
 子育てでも、都会はとくに人間関係が希薄な中、自分で悩み事を抱えてしまう人も多い。また、男性でも介護負担が重くなり、退職に追い込まれたり、虐待に走ってしまう人も出ています。
 
 女性の「声なき声」を政治の場に-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/living/0908/0908138700/1.php
 
 孫による祖母放置死事件 男性・若者も介護につぶされる-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/living/0903/0903099085/1.php
 
 そして、こうした問題の当事者は自分自身が深刻なゆえに、声を上げる余裕すらない状況がある。そういう当事者の方の声も議会に届くようにしたい、とわたしは痛感しています。
 
 多様な人材を送り込む議員定数増
 
 こうした中、多様化する問題を解決するには、定数上限撤廃で、多様な人材が議員になれるようにするのも手だと思います。その代わり、議員報酬は少し引き下げてもよいでしょう。
 
 現実にはそれに逆行したことが行なわれています。合併が行われた市町村では、合併された地域からは議員が一人出せるかどうかになる。そして、今まで地域に男性と女性の双方議員がいても結局男性の名士を優先して推薦してしまう。そんな例が多くわたしの耳にも入っています。
 
 「男女共同参画」に取り組む韓国の市民はいま(2)-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/living/0908/0907307958/1.php
 
 お金持ちで名声もある男性のエライ人が議員になるのは仕方がない。だから、「男性のエライ人ばかり」にならないようにするにはむしろ、定数を増やしてしまうのがよいと思います。韓国を見習って、比例区を地方議会にも設けて欲しい。その場合、名簿の奇数は女性とすればよいのです。
 会社員の休職制度充実も当然です。遅きに失したと思います。そのほか、供託金の引き下げ、ネット選挙解禁など、国政とあわせて、議論すべきことは盛りだくさんです。
 
 行政職員兼務解禁も面白い
 
 行政職員兼務解禁も面白い。
 
 そもそも、国政では、大臣に当たる都道府県の局長・部長クラスが、政治的な責任をとる職ではないというのは、まずいのではないか?と思うのです。
 
 さりとて、素人では困ります。そこで、首長が、現役の行政職員の中から、選挙を経させた上で、幹部を任命するというのもいいと思います。
 
 ただ、行政職員兼務を解禁するなら、いまの二元代表制度をやめるべきとも思います。二元代表制のそもそもの前提は、アメリカの大統領制に倣い、議会と首長の「チェック・アンド・バランスだからです。
 
 なお、地方議会を強化するなら、たとえば、「地域代表」的性格が強い、衆議院の小選挙区制はいかがなものか?ということになります。国会はあくまで、国民全体の代表であるべき、とするならば、比例代表中心の選挙制度に移行していくべきではないでしょうか?
 
 その辺は、「比例定数を削減する」という民主党のマニフェストは見直し「削減するなら小選挙区」とすべきです。ただ、当面は政治主導の確立のためには、国会議員も減らすべきではないと思います。
 
 議員の権能明確化を
 
  ただ、日本の地方議会はアメリカの連邦議会と違い、予算案の提案権がありません。また、アメリカの連邦議会は、GAOを配下に持ち、お金の使い道に極めて強い権限があります。日本の議会は、その点が弱いのです。このため、議員の権能がいまひとつ住民にとってもわかりにくい。結局、議会での仕事よりも、地域での運動会に出席するとか、そういうことのほうが議員活動として重視されてしまうわけです。
 
 そうした弊害を打破するには
 1.現行の二元代表制度を維持する自治体では、議会に予算提案権を与えるなど機能を強化する。
 2.そうでなければ、ノルウェーやドイツなどの(議院内閣制に近い制度)や、アメリカの自治体で取られているシティー・マネージャー制度に近い仕組みを導入する。
 
 あたりを中心に検討したらよいでしょう。
 
 執行機関と議決機関の関係については、総務省の会議資料にも掲載されているので、これも参考にしながら、政治家や官僚任せにせず、国民的な議論を深めましょう。
 
 2の場合は、たとえば、各政党が、現役の行政職員の中から、議員候補を比例名簿の上位に擁立。選挙で多数になった党が、県政・市政を担い、副知事・局長クラスも議員から選ぶという感じがよいかと、個人的には思います。
 
 あくまでモデルとして、例を挙げます。
 
 民主党が広島県議選において、党員でなおかつ職員のわたしを議員候補として擁立します。
 民主党が県議会多数派になったら、県議の中から知事を選ぶ。そして、わたしは当選していれば、男女共同参画担当局長になる。で、4年たって、民主党が敗北して下野したら、わたしは平職員に戻る。
 
 こんな感じでいいと思います。
 
 そのあたりは、いくつか、法制度の中で、選択肢を用意し、各自治体の実態に合わせた制度にしてもらったらよいでしょう。
 
 政権交代機に「痴呆痔恥」から「地方自治」へ

 自民党は、「えらい人たち」の利益配分団体として機能してきました。だから、「ふつうの人」が、意思決定に参加するのを嫌って、「エライ人」だけで議席を独占するような、議会制度、選挙制度などを採ってきたと思います。こうした自民党政治が、結局人々の地方自治参加へのモチベーションを下げ、「痴呆痔恥」にしてしまってきたわけです。
 
 政権交代を機に「エライ人だけ」でつくる地方自治(田中康夫流に言えば「痴呆痔恥」)から、「みんなでつくる」地方自治へ、転換しましょう。原口大臣にはがんばっていただきたいが、大臣任せにせず、国民的な議論を深めましょう。
 

参考記事
 「女も男も生きやすい社会へ」福島大臣、意気軒昂-JanJanニュース
 http://www.janjannews.jp/archives/2263605.html
 世界一住みやすい国ノルウェーに学ぼう!-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/world/0911/0911243539/1.php
 「エライ人だけでつくる」から「みんなでつくる」広島県へ-JanJanニュース
 http://www.news.janjan.jp/government/0910/0910181814/1.php
 「男女共同参画」に取り組む韓国の市民はいま(4)
 http://www.news.janjan.jp/world/0908/0908070415/1.php
 「男女共同参画」に取り組む韓国の市民はいま(3)
 http://www.news.janjan.jp/living/0908/0908018062/1.php
 「男女共同参画」に取り組む韓国の市民はいま(2) 
 http://www.news.janjan.jp/living/0908/0907307958/1.php
 「男女共同参画」に取り組む韓国の市民はいま(2)
 http://www.news.janjan.jp/living/0908/0907307958/1.php
 パリテで政治の脱ジェンダー化を 全国フェミニスト議員連盟夏合宿
 http://www.news.janjan.jp/government/0809/0809016036/1.php


◇記者の「ブログ」「ホームページ」など
広島瀬戸内新聞ニュース
http://hiroseto.exblog.jp/