2月21日、反貧困ネットワーク広島は定期総会を開催しました。
反貧困ネットワーク広島
http://www.geocities.jp/hinky_hiroshima/
■「街に出る」ことで多くの人を助けられる
代表の山田延広弁護士は「数多くの生活に困っている人を救い出すことが出来た。わたしたちの活動は世の中に対して胸を張ることが出来る。(こういう活動は)本来行政が行なうべきことであるが、職を失って生活が立ち行かない人が多数いる」と、今後も活動を続けていくことの意義を強調しました。
事務局長秋田智佳子さんからの報告によると、「広島駅前の『エールエール地下広場』で相談会を行なうことで、寝泊りした方や買い物に来た方などが相談に来られるようになった。町に出るとことで、弁護士会館でやった場合より、相談件数が伸びた」そうです。また、「ハローワークのワンストップサービスのときは相談件数は27件だったが、我々が地下広場でやると127件も相談があった」ということで、役所がやるワンストップよりも有効に機能している実態を振り返りました。
また、昨年度の活動のメインとなった、家を失った人向けのシェルターは5室で、延べ55名(女性10名)が利用し、今も空いている場所がないそうです。
■「子どもの貧困」当事者の生々しい報告
続いて、児童虐待・貧困の当事者から報告がありました。39歳男性は、以下のような体験を生々しく語りました。満員の会場は水を打ったように静かになりました。それくらい、生々しい内容でした。
自分は西宮市で生まれたが、生まれた直後に母が去ってしまった。父が再婚し妹が2人生まれるが、父からも育ての母からも暴力を振るわれました。そのため、両親の関心を引くように努力したが、8歳のときに父が刑務所に入り、育ての母の虐待が増えるようになった。
水道や電気も止まってしまい、風呂にも入れず、臭いといじめられました。父親が刑務所から帰ってきても生活は苦しく、父は酒を飲んでは母親に暴力をふるい、母は自分に腹いせで暴力、という連鎖が続きました。
中2のとき、育ての母が妹2人だけを連れて家を出ました。このとき、自分が継子であるという真相を知りました。
ご飯をまともにたべられず、給食のパンが貴重な食料となった。そのとき、学校の先生がお弁当を作って食べさせてくれ、洗濯もしてくれた。しかし、その先生が退職すると、いじめが再開した。
そして、万引きをしてしまい補導された。それでも、中3の秋に登校を再開し、寮のある高校に進学した。しかし、高校入学直前に、実の母と会い、「中絶の時期が過ぎたから止む無く産んだ」と言われ「自分は不要な存在なのか」と、精神的に傷ついてしまった。そして、親が授業料を滞納してしまい、3ヶ月で自主退学に追い込まれた。
母親に引き取ってほしいと頼んでも断られた。やけを起こして万引きを行い、少年院に1年入院。親は面会に来てくれなかった。
退院後、父の再婚相手を頼った。バイトしながら定時制に通ったが、ある日突然父は1000円札一枚を置いて家を出て行った。そして、家賃滞納により、市営住宅を追い出されてしまった。親にも親戚にも助けてもらえず、アパートに入居するも消費者金融で借金。住まいを失ったので、寮のある仕事に就いた。しかし、仕事が忙しく、定時制高校も中退となってしまう。
そこで、「中国語を身につければこれからは食べていける」と、台湾に渡り、旅行会社で働く。父親が癌で危篤と聞き広島に戻る。しかし所持金200円となったところで、反貧困ネットワークに助けられた。
少年院で再起して、高校に進学した矢先に市営アパートを追い出された。そして、高校も辞めなければならなくなった。がんばっても報われない。情報もない。生きていくことも苦痛だった。リストカットしてしまうようになった。
今も当時の自分と同じように困っている子どもがいるはず。子どもは自ら苦しみを出さない。先生の方から元気がない子どもに声をかけてほしい。子どもはSOSを出しているので感じ取ってほしい。
■「子どもの貧困」テーマに湯澤直美さんから講演
立教大学コミュニティ福祉学部教授の湯澤直美さんから講演がありました。
参考
子どもの貧困―子ども時代のしあわせ平等のために
http://book.asahi.com/review/TKY200805270138.html
研究者情報の詳細:yuzawa_n | 立教大学
http://www.rikkyo.ac.jp/research/initiative/researcher/vin/yuzawa_n.html
以下は、湯澤さんのお話の概要です。
子どもの貧困は、政策的解決が必要なものですが、「それだけ」では、生きておられる当事者の方々の痛みは消えない。意思がつながりあうことが大事。
そして、大人の貧困と子どもの貧困は分かれているわけではない。派遣村に駆け込んだ30代後半の方は子ども期からの貧困を体験し、15歳で上京。アパートではなく住み込みの職に就いていたが、職を失い派遣村に入った。
貧困に苦しむ人は、教育課程、企業福祉、家族福祉、公的福祉、自分自身からも排除されている。彼らを誰も助けてくれなかったために、誰にも助けを求めなくなってしまった。
先進諸国における「子どもの貧困」は深刻で、イギリスなどでは1960年代、70年代から子どもの貧困をなくす民間団体が出来ている。
日本は、2008年に子どもの貧困が叫ばれたので、遅い出発です。
経済的な貧困だけでなく物質的な剥奪がある。
よく、「勉強が遅れている人は、そうと気付いた時点で、がんばるはずではないか?」という意見もあります。しかし、「学習机がないまま過ごす」子どもがいるのです。そういう中で、10年間、勉強することが困難だった人がすぐ取り戻せるわけがないのです。
貧困により病気になり、病気、安全が阻害されるのです。いじめられて会話が怖くなるのです。
◇貧困は、特別な家族に起きる問題ではない
そして、貧困は「特別な家族に起きている特別な問題」ではないのです。
近代では、家族から生産機能がなくなっています(昔は自営業者、農民が多かったが、今は労働者が圧倒的に多い。)。
労働者家族の中では、生活基盤そのものが、外部に依存しないといけないので、不安定性を持っています。そして、役割分担をして暮らしています。また、教育も学校に任せています。その中で、家族をつなぐものとして、愛情・情緒が強調されるがそれは不安定です。
そして、一方で、現実には、社会保障(子育てや介護)を家族に頼る政策が運営されています。それが、ひとり親家庭などを苦しめています。ひとり親家庭の貧困率は57.3%で、昨年、政府がようやく公表しました。子どもの貧困問題は、今年の重要課題としなければなりません。
そして、子ども期の貧困が長期化する傾向も統計から読み取れます。数年前は、幼児のいる家庭の貧困率が高かったのですが、今は、小中学生の貧困率が高まっているのです。こうした、貧困の長期化を食い止めねばなりません。
社会保障実態調査は衝撃的でした。食料を買えなかった家庭が全体で15.6%、一人親世帯の38.4%にも上ったのです。
子育て世帯への所得再分配が皆無に等しいのです。これは税制・社会保障費の問題で、日本とアメリカは家庭への公的支出が著しく少ないのです。さらに、教育への公的支出のGDP比が、アメリカと比べても著しく低いのです。
いかなる家族状況かにかかわらず、子どもには平等に保障されるべき権利がある。
子どもの視点に立って貧困という現実を捉えるべきです。子どもの貧困の長期的・持続的影響力を明確にするべきです。
そして、「子どもの貧困をどう発見するか?」が問われている。今、教育格差が進行している。平等化の装置であるはずの学校が、地位の世代間連鎖を補強する役割を担ってしまっています。(高学歴者の子どもは高学歴者、低学歴者の子どもは低学歴者になる場合が多い)。
◇日本の常識は世界の非常識
80~90%の母子世帯が働いています。さらに、大学の授業料は、40年間で40倍になりました。1970年代の授業料は1.2万円でしたが、今は53万円です。奨学金は給付型ではなく教育ローンです。若者が重たい荷物を背負って社会に出ているのです。
高等教育以外でも、公立高校でも、初年度に64万円かかりますし、小学校13万円、中学校25万円と、経費負担は重いのです。
子育て世帯の所得も二極化していますが、それぞれに大変です。低所得家庭はもちろん、家計が大変ですが、高所得家庭も、教育費は多額で、家計が大変なのです。高等教育費が家計の50%を超えているのは日本と韓国だけです。
不況の中、公立高校の応募は増えており、定時制高校にも応募が増えていますが、統廃合の波を被(こうむ)っています。そこで、止む無く私立高校に行く子どももいるのです。
このように、日本の常識は世界の非常識です。子どもたちにまで「自助努力」を求めている。その結果、子どもが労働させられる、債務返済をさせられるという問題が深刻です。
◇子どもに「申し訳ない」と言わせてしまう国
先般、長妻厚生労働大臣に要望した子どもたちは以下のように訴えたそうです。
「高校では、学ぶ大切さを実感させてもらうようになった」
「全日制高校に落ちた。定時制の三次募集で入ることが出来た」
「自分のために親に迷惑をかけて申し訳ない。(という同級生がいる)」
などなど。
参考:
「子どもの貧困:中学・高校生の卒業クライシス(危機)について」ヒアリング
http://www.dpj.or.jp/news/?num=17693
長妻大臣に要望書を(衆院議員・京野きみこさんのブログ)
http://yaplog.jp/galinaisno1/archive/1154
子どもに「申し訳ない」と言わせてしまう社会は何なのでしょうか? 高校無償化は大きな前進です。しかし、国際的には大学まで無償化を求めている国際人権B規約13条2項を留保している国は わずかに日本とマダガスカルだけです。
◇一人の一歩よりみんなの一歩
しかし、諦めていてはいけません。「1人の100歩よりみんなの1歩」です。「落ちこぼれ」とは不十分な政策による「落ちこぼし」です。そういう視点に立って、考えていきましょう。
■待ったなしの問題
わたしの場合は、行政職員として何が出来るか? 労働組合員として何が出来るか? ボランティア(岡山での野宿生活者支援も含む)として何が出来るか? そして、与党第一党の一員として何が出来るか? これらが問われます。
もちろん、大人の貧困問題は深刻です。しかし、だからこそ、子どもの視点から貧困を捉え返すことが大事です。
どんなにがんばっても、高校に進学した矢先に、親の事情で学ぶ機会を奪われる。家さえなくなる。そんなことが許されていいのか? 改めて、そう思います。
ところで、広島市内では、勉強道具を購入させるのではなく、子どもの共有の「備品」として、公費で買う仕組みをとっている小学校もあります。少しでも、子どもの負担を減らす工夫をしている方々に敬意を表したい。
行政に携わる者は、「縦割り」になってはならない。家賃や水道料金の滞納があれば、その担当者が「その家は、急な経済的な変化があったのではないか? 子どもは大丈夫なのか?」という視点を持つ(ような環境を整える)ことも大事ではないでしょうか?
民主党は、子どもに優しいイメージで、総選挙に圧勝した面もかなりあります。民主党のマニフェストが目指すのは、「子どもが親によって、教育で理不尽な差がつくことがないような社会」です。この方向でスピード感を持って、施策を進めていかねばなりません。
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「生存のためのメーデー」 原爆ドーム前で開催-JanJanニュース
http://www.news.janjan.jp/living/0905/0905032612/1.php
「自由と生存のメーデー」に初参加-JanJanニュース
http://www.news.janjan.jp/living/0905/0905042715/1.php
◇記者の「ブログ」「ホームページ」など
広島瀬戸内新聞ニュース
http://hiroseto.exblog.jp/

反貧困ネットワーク広島
http://www.geocities.jp/hinky_hiroshima/
■「街に出る」ことで多くの人を助けられる
代表の山田延広弁護士は「数多くの生活に困っている人を救い出すことが出来た。わたしたちの活動は世の中に対して胸を張ることが出来る。(こういう活動は)本来行政が行なうべきことであるが、職を失って生活が立ち行かない人が多数いる」と、今後も活動を続けていくことの意義を強調しました。
事務局長秋田智佳子さんからの報告によると、「広島駅前の『エールエール地下広場』で相談会を行なうことで、寝泊りした方や買い物に来た方などが相談に来られるようになった。町に出るとことで、弁護士会館でやった場合より、相談件数が伸びた」そうです。また、「ハローワークのワンストップサービスのときは相談件数は27件だったが、我々が地下広場でやると127件も相談があった」ということで、役所がやるワンストップよりも有効に機能している実態を振り返りました。
また、昨年度の活動のメインとなった、家を失った人向けのシェルターは5室で、延べ55名(女性10名)が利用し、今も空いている場所がないそうです。
■「子どもの貧困」当事者の生々しい報告
続いて、児童虐待・貧困の当事者から報告がありました。39歳男性は、以下のような体験を生々しく語りました。満員の会場は水を打ったように静かになりました。それくらい、生々しい内容でした。
自分は西宮市で生まれたが、生まれた直後に母が去ってしまった。父が再婚し妹が2人生まれるが、父からも育ての母からも暴力を振るわれました。そのため、両親の関心を引くように努力したが、8歳のときに父が刑務所に入り、育ての母の虐待が増えるようになった。
水道や電気も止まってしまい、風呂にも入れず、臭いといじめられました。父親が刑務所から帰ってきても生活は苦しく、父は酒を飲んでは母親に暴力をふるい、母は自分に腹いせで暴力、という連鎖が続きました。
中2のとき、育ての母が妹2人だけを連れて家を出ました。このとき、自分が継子であるという真相を知りました。
ご飯をまともにたべられず、給食のパンが貴重な食料となった。そのとき、学校の先生がお弁当を作って食べさせてくれ、洗濯もしてくれた。しかし、その先生が退職すると、いじめが再開した。
そして、万引きをしてしまい補導された。それでも、中3の秋に登校を再開し、寮のある高校に進学した。しかし、高校入学直前に、実の母と会い、「中絶の時期が過ぎたから止む無く産んだ」と言われ「自分は不要な存在なのか」と、精神的に傷ついてしまった。そして、親が授業料を滞納してしまい、3ヶ月で自主退学に追い込まれた。
母親に引き取ってほしいと頼んでも断られた。やけを起こして万引きを行い、少年院に1年入院。親は面会に来てくれなかった。
退院後、父の再婚相手を頼った。バイトしながら定時制に通ったが、ある日突然父は1000円札一枚を置いて家を出て行った。そして、家賃滞納により、市営住宅を追い出されてしまった。親にも親戚にも助けてもらえず、アパートに入居するも消費者金融で借金。住まいを失ったので、寮のある仕事に就いた。しかし、仕事が忙しく、定時制高校も中退となってしまう。
そこで、「中国語を身につければこれからは食べていける」と、台湾に渡り、旅行会社で働く。父親が癌で危篤と聞き広島に戻る。しかし所持金200円となったところで、反貧困ネットワークに助けられた。
少年院で再起して、高校に進学した矢先に市営アパートを追い出された。そして、高校も辞めなければならなくなった。がんばっても報われない。情報もない。生きていくことも苦痛だった。リストカットしてしまうようになった。
今も当時の自分と同じように困っている子どもがいるはず。子どもは自ら苦しみを出さない。先生の方から元気がない子どもに声をかけてほしい。子どもはSOSを出しているので感じ取ってほしい。
■「子どもの貧困」テーマに湯澤直美さんから講演
立教大学コミュニティ福祉学部教授の湯澤直美さんから講演がありました。
参考
子どもの貧困―子ども時代のしあわせ平等のために
http://book.asahi.com/review/TKY200805270138.html
研究者情報の詳細:yuzawa_n | 立教大学
http://www.rikkyo.ac.jp/research/initiative/researcher/vin/yuzawa_n.html
以下は、湯澤さんのお話の概要です。
子どもの貧困は、政策的解決が必要なものですが、「それだけ」では、生きておられる当事者の方々の痛みは消えない。意思がつながりあうことが大事。
そして、大人の貧困と子どもの貧困は分かれているわけではない。派遣村に駆け込んだ30代後半の方は子ども期からの貧困を体験し、15歳で上京。アパートではなく住み込みの職に就いていたが、職を失い派遣村に入った。
貧困に苦しむ人は、教育課程、企業福祉、家族福祉、公的福祉、自分自身からも排除されている。彼らを誰も助けてくれなかったために、誰にも助けを求めなくなってしまった。
先進諸国における「子どもの貧困」は深刻で、イギリスなどでは1960年代、70年代から子どもの貧困をなくす民間団体が出来ている。
日本は、2008年に子どもの貧困が叫ばれたので、遅い出発です。
経済的な貧困だけでなく物質的な剥奪がある。
よく、「勉強が遅れている人は、そうと気付いた時点で、がんばるはずではないか?」という意見もあります。しかし、「学習机がないまま過ごす」子どもがいるのです。そういう中で、10年間、勉強することが困難だった人がすぐ取り戻せるわけがないのです。
貧困により病気になり、病気、安全が阻害されるのです。いじめられて会話が怖くなるのです。
◇貧困は、特別な家族に起きる問題ではない
そして、貧困は「特別な家族に起きている特別な問題」ではないのです。
近代では、家族から生産機能がなくなっています(昔は自営業者、農民が多かったが、今は労働者が圧倒的に多い。)。
労働者家族の中では、生活基盤そのものが、外部に依存しないといけないので、不安定性を持っています。そして、役割分担をして暮らしています。また、教育も学校に任せています。その中で、家族をつなぐものとして、愛情・情緒が強調されるがそれは不安定です。
そして、一方で、現実には、社会保障(子育てや介護)を家族に頼る政策が運営されています。それが、ひとり親家庭などを苦しめています。ひとり親家庭の貧困率は57.3%で、昨年、政府がようやく公表しました。子どもの貧困問題は、今年の重要課題としなければなりません。
そして、子ども期の貧困が長期化する傾向も統計から読み取れます。数年前は、幼児のいる家庭の貧困率が高かったのですが、今は、小中学生の貧困率が高まっているのです。こうした、貧困の長期化を食い止めねばなりません。
社会保障実態調査は衝撃的でした。食料を買えなかった家庭が全体で15.6%、一人親世帯の38.4%にも上ったのです。
子育て世帯への所得再分配が皆無に等しいのです。これは税制・社会保障費の問題で、日本とアメリカは家庭への公的支出が著しく少ないのです。さらに、教育への公的支出のGDP比が、アメリカと比べても著しく低いのです。
いかなる家族状況かにかかわらず、子どもには平等に保障されるべき権利がある。
子どもの視点に立って貧困という現実を捉えるべきです。子どもの貧困の長期的・持続的影響力を明確にするべきです。
そして、「子どもの貧困をどう発見するか?」が問われている。今、教育格差が進行している。平等化の装置であるはずの学校が、地位の世代間連鎖を補強する役割を担ってしまっています。(高学歴者の子どもは高学歴者、低学歴者の子どもは低学歴者になる場合が多い)。
◇日本の常識は世界の非常識
80~90%の母子世帯が働いています。さらに、大学の授業料は、40年間で40倍になりました。1970年代の授業料は1.2万円でしたが、今は53万円です。奨学金は給付型ではなく教育ローンです。若者が重たい荷物を背負って社会に出ているのです。
高等教育以外でも、公立高校でも、初年度に64万円かかりますし、小学校13万円、中学校25万円と、経費負担は重いのです。
子育て世帯の所得も二極化していますが、それぞれに大変です。低所得家庭はもちろん、家計が大変ですが、高所得家庭も、教育費は多額で、家計が大変なのです。高等教育費が家計の50%を超えているのは日本と韓国だけです。
不況の中、公立高校の応募は増えており、定時制高校にも応募が増えていますが、統廃合の波を被(こうむ)っています。そこで、止む無く私立高校に行く子どももいるのです。
このように、日本の常識は世界の非常識です。子どもたちにまで「自助努力」を求めている。その結果、子どもが労働させられる、債務返済をさせられるという問題が深刻です。
◇子どもに「申し訳ない」と言わせてしまう国
先般、長妻厚生労働大臣に要望した子どもたちは以下のように訴えたそうです。
「高校では、学ぶ大切さを実感させてもらうようになった」
「全日制高校に落ちた。定時制の三次募集で入ることが出来た」
「自分のために親に迷惑をかけて申し訳ない。(という同級生がいる)」
などなど。
参考:
「子どもの貧困:中学・高校生の卒業クライシス(危機)について」ヒアリング
http://www.dpj.or.jp/news/?num=17693
長妻大臣に要望書を(衆院議員・京野きみこさんのブログ)
http://yaplog.jp/galinaisno1/archive/1154
子どもに「申し訳ない」と言わせてしまう社会は何なのでしょうか? 高校無償化は大きな前進です。しかし、国際的には大学まで無償化を求めている国際人権B規約13条2項を留保している国は わずかに日本とマダガスカルだけです。
◇一人の一歩よりみんなの一歩
しかし、諦めていてはいけません。「1人の100歩よりみんなの1歩」です。「落ちこぼれ」とは不十分な政策による「落ちこぼし」です。そういう視点に立って、考えていきましょう。
■待ったなしの問題
わたしの場合は、行政職員として何が出来るか? 労働組合員として何が出来るか? ボランティア(岡山での野宿生活者支援も含む)として何が出来るか? そして、与党第一党の一員として何が出来るか? これらが問われます。
もちろん、大人の貧困問題は深刻です。しかし、だからこそ、子どもの視点から貧困を捉え返すことが大事です。
どんなにがんばっても、高校に進学した矢先に、親の事情で学ぶ機会を奪われる。家さえなくなる。そんなことが許されていいのか? 改めて、そう思います。
ところで、広島市内では、勉強道具を購入させるのではなく、子どもの共有の「備品」として、公費で買う仕組みをとっている小学校もあります。少しでも、子どもの負担を減らす工夫をしている方々に敬意を表したい。
行政に携わる者は、「縦割り」になってはならない。家賃や水道料金の滞納があれば、その担当者が「その家は、急な経済的な変化があったのではないか? 子どもは大丈夫なのか?」という視点を持つ(ような環境を整える)ことも大事ではないでしょうか?
民主党は、子どもに優しいイメージで、総選挙に圧勝した面もかなりあります。民主党のマニフェストが目指すのは、「子どもが親によって、教育で理不尽な差がつくことがないような社会」です。この方向でスピード感を持って、施策を進めていかねばなりません。
関連記事
「子どもの貧困」待ったなし、政権交代でようやく「議題」に -JanJanニュース
http://www.janjannews.jp/archives/2615578.html
生存権確立の春を!反貧困ネットワーク広島設立 -JanJanニュース
http://www.news.janjan.jp/area/0902/0902076996/1.php
「生存のためのメーデー」 原爆ドーム前で開催-JanJanニュース
http://www.news.janjan.jp/living/0905/0905032612/1.php
「自由と生存のメーデー」に初参加-JanJanニュース
http://www.news.janjan.jp/living/0905/0905042715/1.php
◇記者の「ブログ」「ホームページ」など
広島瀬戸内新聞ニュース
http://hiroseto.exblog.jp/

湯沢さんの著書を紹介する今回の「反貧困ネットワーク広島」総会のチラシ(撮影・さとうしゅういち)
