舞台芸術のひとつであるオペラは演出の規模が大きい。多様な舞台装置もさることながら、歌手による生の歌声や演奏者による生の楽器演奏は圧巻であろう。オペラで聴かれる音楽は基本的に生音である。オペラにおいてはこれら生音で観客を魅了するために音響デザイナーという役割が不可欠になるという。本書はその音響デザイナーの著者によるオペラ入門書である。
オペラは音楽にのせて語られる文学である。観客は音調のさまざまな変化による立体的な音楽に魅了されるのだが、加えて近年のオペラでは視覚的な演出も観客を魅了する重大な要素となっている。しかし、視覚的な演出のために用いられる舞台装置は時にオペラで聴かれる生音に少なからぬ影響を与えるという。舞台装置の材質によっては生音が吸収されたり遮断されたりする。生音が乱反射を起こすことさえある。これらへ対応するのが音響デザイナーである。筆者はこの音響デザイナーとしての仕事を「整音」と語る。整音とは生音が発せられたそのままの状態で伝わるよう工夫することである。さらに、歌手が舞台上で感じる違和感(筆者はこれをストレスのある音響空間と呼ぶ)を取り除くことで歌手が持ち得ている本来の歌声を引き出すことも行っている。
このように生音を話題の中心としながら、オペラの歴史・オペラの知識・オペラの仕事という3章で構成されている。さらに今回の増補版では筆者の半生も加筆されており、より音響デザイナーという仕事に迫っている。宗教上の理由から女子による歌唱が認められていない時代では、男子が高域の歌声を得るため変声期をむかえる前に去勢するカストラートという歌役があったことや、ヴァーグナーの探究心により客席からオーケストラ・ピット(指揮者や演奏者)が見えないよう舞台下へ階段状にもぐり込ませる仕掛けが考案されたことなど、オペラの周辺情報も豊富に収載されている。また、びわ湖ホールやヴィオラ・ダ・ガンバなど随所に写真や図表イラストも掲載されている。
現在、音楽は電子端末機器の進化に伴い日常生活においてより身近な存在となっている。音楽は街を歩いていると聞こえ、室内で聴くことや移動中にイヤホンで聴くことも可能である。いずれも音量調節をして好みに合わせた音量にすることができる。我々もごく簡単にではあるが音響を試みているのだ。そのような日常にあるからこそ、生音の持つ深みを改めて考えてみたいものである。
オペラは音楽にのせて語られる文学である。観客は音調のさまざまな変化による立体的な音楽に魅了されるのだが、加えて近年のオペラでは視覚的な演出も観客を魅了する重大な要素となっている。しかし、視覚的な演出のために用いられる舞台装置は時にオペラで聴かれる生音に少なからぬ影響を与えるという。舞台装置の材質によっては生音が吸収されたり遮断されたりする。生音が乱反射を起こすことさえある。これらへ対応するのが音響デザイナーである。筆者はこの音響デザイナーとしての仕事を「整音」と語る。整音とは生音が発せられたそのままの状態で伝わるよう工夫することである。さらに、歌手が舞台上で感じる違和感(筆者はこれをストレスのある音響空間と呼ぶ)を取り除くことで歌手が持ち得ている本来の歌声を引き出すことも行っている。
このように生音を話題の中心としながら、オペラの歴史・オペラの知識・オペラの仕事という3章で構成されている。さらに今回の増補版では筆者の半生も加筆されており、より音響デザイナーという仕事に迫っている。宗教上の理由から女子による歌唱が認められていない時代では、男子が高域の歌声を得るため変声期をむかえる前に去勢するカストラートという歌役があったことや、ヴァーグナーの探究心により客席からオーケストラ・ピット(指揮者や演奏者)が見えないよう舞台下へ階段状にもぐり込ませる仕掛けが考案されたことなど、オペラの周辺情報も豊富に収載されている。また、びわ湖ホールやヴィオラ・ダ・ガンバなど随所に写真や図表イラストも掲載されている。
現在、音楽は電子端末機器の進化に伴い日常生活においてより身近な存在となっている。音楽は街を歩いていると聞こえ、室内で聴くことや移動中にイヤホンで聴くことも可能である。いずれも音量調節をして好みに合わせた音量にすることができる。我々もごく簡単にではあるが音響を試みているのだ。そのような日常にあるからこそ、生音の持つ深みを改めて考えてみたいものである。
