三上英次

 「星座が分かると、夜空を見上げるのがすごく楽しくなるよ――」
 
 プラネタリウムが大好きで、毎月必ず科学博物館に通っていた当時4年生の息子から、母親の千恵子さんは「プラネタリウムへ連れて行ってもらえない友達のために、自分で製作したい」と打ち明けられる。

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提供写真・山本千恵子さん、以下同じ


 その後、光の点滅が楽しめる「花火的からくり箱」を試作した少年は、それを進化させる形で、苦心の末に、手製のプラネタリウムを完成させる。「銀河のウィンク」と命名された、その友情のあかしは、光ファイバーを使い、太いワイヤーと和紙で作られ、ドーム内には、「地表」から35度の所に北極星があり、他にもおもだった星座が一つ一つ正確に配置されている。

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 千恵子さんによれば、製作に際し、小5になった息子さんは、ドーム外側にチョークで座標を引いていき、内側から星空を眺めた時に、ちゃんと正しい形に見えるように星座を左右、真逆に描くという作業を繰り返してプラネタリウムを完成させたという。各星座には光ファイバーが差し込まれ、通電すると豆電球が点滅して、ドーム内部には、本物さながらの星空が浮かび上がるしくみだ。すべての星座を光らせておいて、見たい星座を別のスイッチで点滅させたり、特定の星座のスイッチだけを点灯させて、星座の形を覚えたり、楽しみ方は何通りもあるらしい。
 
 もともとの動機は「プラネタリウムで友達を喜ばせたい」というものだったが、「星座を覚えると、夜空を見上げるのが楽しくなり、もっときれいな星空を見たいと思うようになる」、「そこから、夜間の明かりを人々が少し控えるようになったり、エコ(環境)についても考えるようになったりして欲しい」と、少年はプラネタリウムに込める思いを語る。
 

 少年の名前は、富山県在住の山本良太君、現在高校進学を控えた中学3年生だ。良太君は、小学4年生の時に、「傘の置き忘れ装置」を独自に“開発”。これは、建物から人が出てくると、玄関前に置かれた傘のオブジェが自動で開いたり閉じたりして、そばを通る人に傘のことを思いつかせてくれるというすぐれものだ。その後、母親の千恵子さんが特許申請し、2年後(06年10月)に晴れて、「忘れ物防止装置」通称「傘お化け」で小学生として初めて特許が認められた。良太君は、その後も“開発”に従事、ネコ好きな良太君は、野良猫に自宅の網戸を破られたことをきっかけに「ネコを傷つけないように追い払う発明ができないか」と構想を練る。そして、09年7月には、野良猫が寄ってこないようにする装置「ランにゃウェイ2」で再度、特許を取得する。良太君は「ランにゃウェイ2」を評していわく「ネコにも人にも優しい発明ができた」と満足げだ。
 

 「銀河のウィンク」と前年作の「花火的からくり箱」だが、長年、作品を預かって来た施設の都合で保管が難しくなり、現在、母親の千恵子さんは、ふたつの作品を引き取って使ってもらえるところを探している(2作品は無料進呈、別々の譲渡可)。
 
 科学の体験授業や情操教育に、あるいは創造力を養う教材として、幼稚園、小学校、養護施設、ほかにも町の公民館などに寄贈したいというのが千恵子さんの希望だ。特にプラネタリウムについて運搬方法に工夫が必要だが、希望者は個別に下記アドレスまで、連絡して欲しいという。寄贈先には、良太君本人が出向き、点滅具合を点検してくれたり、壊れにくいようにアクリルケースをつけてくれたりと、「出張サービス」もできる限り応じてくれる特典つきだ。
 
 「これからも多くの人を笑顔にできる発明を続けたい」と話す良太君は、引き続き研究・開発に邁進(まいしん)する予定だ。この調子で行くと、良太君は青色発光ダイオードの発明・開発者として知られる中村修二氏(現・米カリフォルニア大学教授)をしのぐ発明家になりそうな雲行きである。その良太少年が、小学生時代にあつい友情から製作した、世界にひとつしか無い手作りプラネタリウム――施設に限らず、あなたの家のリビングにでもどうだろうか。
 

〔プラネタリウム・概要〕
 (1)名称 「銀河のウィンク」
 (2)サイズ 高さ150cm×奥行150cm×幅150cm(分解難)
 (3)連絡先 cimaneko@pf.ctt.ne.jp (山本さん)
 (4) 備 考
 4月下旬以降、現在預けている施設での保管が難しくなるため、4月中の引き取りを希望。少し急を要するためもあり、先着順で引き取り先を決定。「銀河のウィンク」は、「富山県知事賞」受賞作品。「銀河のウィンク」と下記「からくり箱」は、セットではなく別々に譲渡可。
 
〔からくり箱・概要〕
 (1) 名称 「花火的からくり箱」 
 (2) サイズ 高さ100cm×奥行160cm×幅60cm(分解可能)
 (3) 連絡先 cimaneko@pf.ctt.ne.jp (山本さん)
 (4) 備考
「花火的からくり箱」は「銀河のウィンク」前年に製作した、光のマジック(点滅)を楽しめるおもちゃ。この作品はユニークな創造性が評価され〈富山市長賞〉を受賞した。