竹内春一

 企業利益=売上-コスト(固定コスト+流動コスト)である。流動コストが増えると企業利益は減少する。
 日本は貿易国家であり、かつ輸出依存型経済を宿命としている。なぜなら、原油購入資金を稼がなければならないからである。もし、輸出が止まり、国内市場だけで、経済を回そうとしたら、原油を購入するのに、今までの貯蓄である、個人金融資産を取り崩す以外にない。金融資産がなくなれば、車を動かす原油も購入できなくなる。日本にとって、貿易は日本の生命線である。海外から安い材料を輸入して、加工して、付加価値の高い製品を輸出することで、今まで経済発展してきた。原油は、エネルギーから製品の素材、肥料、車の燃料など、ほとんどの製品に利用されている。その価格が2倍にもなれば、流動コストが増えて、企業利益を圧迫する。1980年代に入って、起業率が6%から4%へ落ち込んだのは、原油高騰による企業利益の減少に原因があると思われる。さらに、2008年の原油高騰で、さらに企業利益が圧迫されて、ついに廃業率が起業率を上回ってしまった。
 
 売り上げが減れば企業利益は減少する。
 原油高だけでなくて、円高によって海外に輸出しても、輸出代金は減少する。
 たとえ、コストが一定でも、売り上げが減れば、企業利益は減少である。
 現在の日本経済の不況は、統計資料が示すように、原油高および円高に基本的に原因があると思われる。
 
 トヨタをはじめ企業は、2000年代、減少する企業利益を上げるために、固定コストである人件費をまず流動コストに移した。それが派遣労働の解禁である。派遣労働は簡単に切ることのできる流動コストであるから、部品の購入をストップするかのように、派遣労働雇用契約をストップして、去年は社会問題になった。またトヨタのかんばんシステムは流動コストを社内で持つのではなくて、部品メーカーに持たせて、3日前に発注して納入させる方法である。これによって、トヨタは大幅に流動コストを抑えることに成功した。しかし、過ぎたるは及ばざるがごとしで、急拡大した派遣労働によって、安上がりな流動人的コストは達成できたが、そのために、トヨタにとっては致命的な大量リコールに直面している。